公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。
答える人=党女性副委員長(参院議員) 伊藤孝江さん
家族の介護や、幼いきょうだいの世話に追われる子ども「ヤングケアラー」の存在が注目されています。過度な負担が学業や人生に深刻な影響を及ぼすことが指摘されており、政府は5月17日、初の支援策を盛り込んだ報告書を取りまとめました。問題の背景などを公明党女性副委員長の伊藤孝江参院議員に聞きました。
公明党女性副委員長・伊藤孝江参院議員
Q.当事者はどれくらい?
A.中学2年の17人に1人。家族の介護や世話を担う
アスカ 実態について教えてください。
伊藤 「ヤングケアラー」とは、本来なら大人が担うべき家事や家族の介護、身の回りの世話などを行っている18歳未満の子どもの総称です。ケアが「お手伝い」の範囲であれば問題ないのですが、負担が大きいあまり学校に行けなくなったり、友人関係の行き詰まりや、就職機会の喪失といった深刻な問題に発展するケースが指摘されています。
誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまいがちな状況も見逃せません。自身の状況を“普通”と思っている子も多く、また、誰かに相談したくても、昔に比べて頼れる親類が少ない現状もあります。
アスカ 当事者はどの程度いますか。
伊藤 厚生労働省と文部科学省が4月にまとめた初の実態調査の結果によると、世話をする家族が「いる」と答えた割合は中学2年生の場合、5.7%、17人に1人の割合です。また、ケアの対象は「きょうだい」が最多で、特に年の離れた幼いきょうだいの世話に追われている子どもが多くいることも明らかになりました。
ケアの事例
Q.国の支援策の要点は?
A.関係機関が連携し対応。SNS使った相談体制も
アスカ 国の支援策のポイントは。
伊藤 厚労・文科両省のプロジェクトチーム(PT)がまとめた支援策には、福祉、介護、医療、教育などの関係機関がヤングケアラーについて理解を深めるとともに、各機関が連携した支援体制の検討が盛り込まれました。
関係機関が連携し問題意識を共有することは、とても重要な一歩だと考えます。例えば福祉の窓口は、祖父母の介護に追われる子どもの存在を把握しやすい位置にいますが、現状では、こうした子どもは立派な介護力と見なされ、支援の対象としては認識されないケースが多いからです。
アスカ 相談しやすい体制づくりも必要です。
伊藤 国は会員制交流サイト(SNS)などを活用したオンライン相談体制を整備していく考えです。PTの共同議長を務める山本博司厚労副大臣(公明党)は、子どもが自ら役所などに相談へ行くことは心理的ハードルが高いと指摘し、「全国どこに住んでいても、悩みを共有できる環境を一刻も早くつくる」と強調しています。
Q.公明はどう取り組む
A.ネットワークの力生かし全国的に対策強化進める
アスカ 公明党の取り組みは?
伊藤 今年1月に兵庫県内で開いた党の勉強会では、ヤングケアラー問題に詳しい大阪歯科大学の濱島淑恵准教授を迎え、当事者の切実な声や対策の手だてなどを伺いました。この勉強会を踏まえて、私が3月の参院予算委員会で国による支援強化を主張した際、菅義偉首相は「省庁横断のチームで、当事者に寄り添った支援にしっかりと取り組む」と答弁し、初めてヤングケアラー支援に言及しました。
アスカ 支援の流れが一気に加速しましたね。
伊藤 4月には党厚労部会が一般社団法人日本ケアラー連盟の堀越栄子代表理事と意見交換し、さらに先日、党として政府に行った「骨太の方針」に関する提言でも対策強化を求めました。
悩んでいる子どもたちの声なき声をキャッチし、希望を届けるために、党のネットワークの力で、まずはヤングケアラーの存在を多くの人に知ってもらう取り組みを推進し、早期発見・把握から適切な支援につなげる環境をつくっていきます。