ヤングケアラー支援強化へ
公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。
21年度補正、22年度予算に事業費を計上
学業や就職に影響も
ヤングケアラーの例としては、障がいや病気のある家族の代わりに買い物や料理などの家事や幼いきょうだいの世話、家族の入浴やトイレの介助を行うケースが代表的だ。
核家族化や高齢化、ひとり親家庭の増加といった家族構成の変化が背景にあるが、本来、大人が担うべきことに向き合う子どもへの支援の必要性が指摘されてきた。
厚生労働省が文部科学省と行った実態調査の結果(21年4月発表)では、中学2年生の5.7%(約17人に1人)、全日制高校2年生の4.1%(約24人に1人)に世話をしている家族がいることが判明。日々のケアに多くの時間や労力を割くため、学業不振や不登校、就職機会の喪失など深刻な問題に発展している人もいる。
公明、政府に対策要請
公明党は国会議員と地方議員が連携して実情を調べ、支援策の必要性を訴えてきた。
21年3月の参院予算委員会で、伊藤氏が国の支援強化を強く求めたのに対し、菅義偉首相(当時)から、初めてヤングケアラーへの支援を進める旨の答弁を得た。その後、当時厚労副大臣を務めていた公明党の山本博司参院議員の主導で、厚労・文科両省合同のプロジェクトチームが発足。支援策に関する報告書の取りまとめにつながった。
さらに、公明党の提案により、21年6月に策定された政府の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)にもヤングケアラーの対策強化が盛り込まれ、予算に反映される道筋を付けた。
調査や職員研修実施 当事者の交流も推進
ヤングケアラー支援の主な内容
政府の実態調査では、中高生の8割以上がヤングケアラーを「聞いたことはない」と回答。ヤングケアラーを早期発見して適切な支援につなげるためには社会的認知度の向上が欠かせない。政府は積極的な広報活動を行い、認知度5割をめざす。その上で、支援事業を創設し、政府予算に反映させている。
具体的には、自治体の取り組みを支援するため、ヤングケアラーの実態調査や関係機関の職員がヤングケアラーについて学ぶ研修を行う自治体に対して財政支援を行う。実際、世話をしている家族を持つ中高生の6割以上は相談経験のないことが判明しており、早期発見や支援策につなげる体制強化をめざす。
自治体と関係機関、民間支援団体をつなぐ「ヤングケアラー・コーディネーター」の配置や当事者同士が悩みや経験を共有し合うオンラインサロンの運営・支援も実施。関係機関が横断的にヤングケアラーを支える体制を構築する。
このほか、幼いきょうだいの世話を行うヤングケアラーへの訪問支援事業も行う。
将来に希望持てるサポートを
伊藤たかえ 参院議員
ヤングケアラーは、制度のはざまにある複合的な問題であり、行政や地域の支援が欠かせません。ところが、行政では福祉や医療、教育など関係する部署が多岐にわたり、施策を推進する主体が明確でない状況が問題でした。
その点で今回、政府が対策に本腰を入れ始め、支援事業を推進する予算が成立したことは大きな一歩と評価できます。
私はこれまで、地方議員の皆さんと各地のヤングケアラーの問題を共有しながら、支援の重要性を国会質問などで訴えてきました。とりわけ、昨年3月の参院予算委で私が、行政の縦割りを排しヤングケアラーの対策強化を訴えたのに対し、菅首相(当時)が省庁横断的に取り組む方針を表明したことは大きな契機となりました。今後、地方自治体でも横断的な体制の整備が期待されます。
ただ、課題も残されています。ヤングケアラーは幼いころからそうした状態に置かれた人が多く、当事者自らが相談したり助けを求めたりできないケースも少なくありません。学校などで助けを求めることの大切さを周知していく必要があります。
また、家族のために献身するヤングケアラーの子どもの行動は尊く、それ自体は否定すべきものではありません。ただ、それが原因で自分の将来に希望が持てず苦しむようなことがあってはなりません。一人一人が思い描く人生が歩めるよう、これからも寄り添う支援に取り組む決意です。