給付型奨学金を拡充へ
公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。
24年度から中間層に拡大
多子世帯、理工農学系が対象
公明、強力に推進
公明党が強力に推進してきた高等教育無償化の対象拡大が具体化へ――。政府の「教育未来創造会議」(議長=岸田文雄首相)は2日、返済不要な給付型奨学金の対象を2024年度から中間所得層にも拡大することなどを盛り込んだ工程表を公表した。工程表は、今年5月に同会議が取りまとめた提言を着実に実行に移すため、目標と期間を明示したもの。大学の理工系学部の再編などの支援を23年度から実施することも記した。
現行の高等教育無償化は、年収の目安が約380万円未満の低所得層の学生を対象に、授業料などの減免に加え給付型奨学金を支給。工程表では、中間層の多子世帯や理工系、農学系の学生への対象拡大の提言を受け、法改正を含めて検討した上で24年度から支援すると記した。
減額返還制度の充実も
また貸与型奨学金の返還支援制度も充実に向け動き出す。無利子・有利子にかかわらず、返還中の既卒者も含めて、結婚や出産といったライフイベントに応じて柔軟に返還できるよう減額返還制度の見直しを進める。大学院生を対象に、在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に連動して返還する「出世払い」方式も導入を検討。いずれも24年度からの開始と明記した。
一方、デジタルや脱炭素など成長分野の人材育成のため、大学の統合や理工系学部の再編などに伴う初期投資や運営経費の支援については、23年度から順次実施する。高専などの機能強化に向けては、産業界とも連携した教育カリキュラムを検討し、デジタル、半導体分野などで実践的な教育を24年度から開始するなど環境整備を促進する。
岸田首相は5月の教育未来創造会議で「人への投資を通じた成長と分配の好循環を、教育や人材育成においても実現することは新しい資本主義の実現に向けての喫緊の課題だ」と強調。工程表を作成し、着実に実行するよう指示していた。
給付型奨学金の対象拡大などを末松文科相(当時、中央右)に提言した党教育改革推進本部=4月28日 文科省
給付型奨学金などの充実については、公明党が長年主張してきた。特に、政府の提言に先立ち、4月に末松信介文部科学相(当時)に対して、負担の大きい多子世帯や授業料が他学部よりも高く設定されるケースの多い理工・農学系に拡充するよう要請。返還支援の充実なども訴えていた。