ヤングケアラーの支援充実

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法改正で自治体の役割を明確化
専門的な相談体制など環境整備も

日常的に家族の世話や介護を担う「ヤングケアラー」について、6月施行の改正子ども・若者育成支援推進法では、国や自治体が支援するべき対象として明文化された。今年度から全市区町村での設置が努力義務となった「こども家庭センター」を通じ、当事者に確実な支援が行き届く環境整備が進められている。ヤングケアラー支援を巡っては、公明党が「子育て応援トータルプラン」で提唱。党支援推進プロジェクトチーム(PT)を設置し、各自治体の取り組みを後押ししている。

ヤングケアラーは、自身を当事者と認識していない場合が多く、周囲の大人も深刻な状況に気付きにくい実態がある。

そこで国は、新たな支援の取り組みとして自治体ごとに役割を明確化した。具体的には、市区町村が実態調査を行い、こども家庭センターから学校などの関係機関を通じてケアラー自身に気付きを与え、家族の世話を外部サービスに代替するなど切れ目のない支援につなぐ。都道府県においては、①オンラインなどで個々の相談に応じ、状況や課題の整理②必要な支援に向けた市区町村への働き掛け③精神的ケアなど専門的な相談支援――など実施体制を整備。子どもや若者の複雑な心情にも十分配慮し、社会の理解を深める広報啓発に取り組むとしている。

■介護長期化でメンタル不調

東京都医学総合研究所などの研究グループは、ヤングケアラー状態が思春期に長期間続くと、精神的不調を訴えるリスクが高まるとの調査結果を14日までに発表した。2002年9月~04年8月に生まれた都内の児童2331人に対し、10、12、14、16歳の四つの時点を追跡調査。各時点で病気などを抱えた家族の世話について、「毎日もしくはほぼ毎日」と回答した児童をヤングケアラーと定義し、メンタルヘルスとの関係を分析した。

その結果、「毎日もしくはほぼ毎日」と回答した割合は各時点で約3%だった。2年以上ヤングケアラー状態だった児童は、ケアに携わっていない児童と比べると、抑うつ状態が14歳時点で2.49倍、自傷行為が16歳時点で2.51倍、自殺を想像・計画する「自殺念慮」は2.06倍に上った。

都医学研の西田淳志・社会健康医学研究センター長は、ヤングケアラーの状態は「祖父母との同居」の世帯が長期化しやすいと指摘。「学校や公的機関が早い段階で気付き、負担を減らす支援が重要」と話している。

■公明、地域格差の解消へ各地の取り組みを後押し

ヤングケアラー支援を巡っては、党PT座長の伊藤孝江参院議員が、21年3月の参院予算委員会で支援強化を主張した結果、菅義偉首相(当時)が「省庁横断で支援に取り組む」と答弁。これが追い風となり、厚生労働・文部科学両省の合同PTが設置され、省庁の垣根を越えた支援パッケージが策定された。その後も、地域による支援のばらつきを解消するため、各地の公明議員が実態調査や支援策を推進するなど、党を挙げて継続的に取り組んでいる。

“コメ助のここが知りたい!” 旧優生保護法ってどういう法律?

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■遺伝性疾患の人らに不妊手術を強制。最高裁が憲法違反と認め国が謝罪。補償について検討が始まったよ。

コメ助 「旧優生保護法」とはどんな法律だったの?

A 旧優生保護法は1948年に制定され、遺伝性の疾患がある人を「不良」と見なし「社会のためには子孫の出生を防ぐ」という考え方(優生思想)の下、本人の同意がなくても強制的に不妊手術を可能にしていた法律だ。当初は、遺伝する恐れのある病気や障がいに限られていたものの、52年の法改正で精神疾患や知的障がいがある場合も強制不妊の対象に。この法律は96年まで続いたんだ。

国の報告書によると、同法を根拠にした手術数は少なくとも約2万5000件に上る。このうち、同意のない強制手術は1万6475件で、9歳の子どもにまで手術を行っていた。ただ、正確な被害者数の把握は困難とも指摘されている。

Q 問題が表面化したきっかけは?

A 2018年、宮城県の知的障がいがある女性の手術記録が見つかり、同法による強制不妊手術が憲法に反するとして、国に賠償を求める初の訴訟が仙台地裁で起こされたことだ。各地で被害者の相談会が行われ同様の裁判が相次いだ。

19年には、被害者に対して320万円の一時金を支給する法律が制定され、これまでに1110人が一時金の支給を受けているよ。

こうした中、7月3日に最高裁判所大法廷が旧法を憲法違反として国に賠償を命じる初の統一判断を示す判決を下した。同31日には別の被害者の裁判で国が和解金を支払うことで初めて合意する見通しとなった。

Q 今後はどうなるの?

A 最高裁判決を受けて、岸田文雄首相は同17日、裁判の原告らと面会して政府として謝罪。審理が続く全ての裁判で和解による速やかな解決をめざすとし、訴訟を起こしていない人も含め、幅広い被害者などを対象に新たな補償の仕組みを検討する意向を示した。

国会では、超党派の議員連盟で被害者らへの新たな補償について議論がスタート。公明党も被害補償を検討するプロジェクトチームを党内に設置し、今月1日には全国優生保護法被害弁護団、被害の当事者らから話を聴取【写真】したんだ。被害者救済に全力を挙げている

強制不妊 一人も残らず救済を

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当事者や弁護団の声聴く
旧優生保護法巡り党PT

公明党の旧優生保護法被害補償等検討プロジェクトチーム(PT、座長=佐藤英道衆院議員)は1日、衆院第2議員会館で会合を開き、障がいなどを理由に不妊手術を強制した旧優生保護法(1948~96年)を違憲として、国の賠償責任を認めた最高裁判決を受け、全国優生保護法被害弁護団から、被害者への新たな補償のための立法に向けた要望を受けるとともに、被害当事者や支援者らから話を聴いた。全日本ろうあ連盟の関係者も同席した。

旧優生保護法に関する被害当事者や弁護団など(右側)から話を聴いた党PT=1日 衆院第2議員会館

 

席上、弁護団の新里宏二共同代表らは、旧優生保護法を巡る訴訟で、最高裁判決後、7月31日に初めて和解が成立したことに触れ「被害救済をしなければならないという大きな流れができている」と強調。救済の仕組みを作る上で「声を上げられない人をどう一人残らず救済するかという観点が極めて大事になる」として「公明党の力で(当事者らの)声を、超党派の声に導いてほしい」と訴えた。

新たな補償 配偶者、中絶手術の被害者も対象に

要望では、新たな補償のための立法の役割として①訴訟手続きを経ることなく、迅速・簡易な解決の仕組みを作る②裁判では十分に判断されていない問題を政治的な視点から補充する――ことを列挙。補償の対象を巡っては、被害者の配偶者や、旧法に基づき人工妊娠中絶手術を受けた被害者も含めるよう訴えるとともに、被害者本人の補償金額を一律1500万円とすることなどを求めた。

当事者や支援者らからは、手術を受けたことにまつわる悲痛な思いを聴いた。当事者の一人は「当たり前の生活が送れるよう(障がいのあるなしにかかわらず)差別のない社会をつくって広めてほしい」と訴えた。被害者救済に向け、相談や情報提供の場面で手話通訳などによる情報保障を取り入れることや、相談窓口の整備に関して提案があったほか、本人への周知方法を巡っても意見が上がった。

社会のありようを変える取り組みも

会合では、公明党の北側一雄副代表があいさつし「最高裁判決をしっかり受け止める」と述べた上で、法整備に向けて「皆さまの声を聴きながら、社会のありようも変えていけるよう党を挙げて取り組む」と強調した。

会合終了後、佐藤座長は補償の対象を巡って「配偶者と中絶手術の被害者については、しっかり検討する」と話した。

これに先立ち、補償制度創設に向けた超党派議員連盟のPTが会合を開き、弁護団から要請を受けるとともに、新たな立法措置の論点について議論した。党PTの佐藤座長、伊藤孝江事務局長(参院議員)が出席した。

保護司の安全対策

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「複数指名」の意向確認
自宅以外の面接場所確保も

■法相への提言が反映

小泉法相(中央)に提言する大口部会長(右隣)ら=6月17日 法務省

大津市で今年5月、保護司の男性が殺害された事件を受けて、法務省は7月26日、保護司の安全確保に向けた対策を公表した。通常1人の担当保護司を複数配置する運用の対象拡大などが柱。25日付で全国の保護観察所に通知した。保護司の安全確保を巡っては、公明党が小泉龍司法相に緊急提言していた。

具体的な対応策では、新たに案件を依頼する際、同省職員の保護観察官が担当保護司に対し「複数指名」を希望するか意向を必ず確認。希望する場合は複数配置を調整する。公民館など自宅以外の面接場所の確保を進めることや、保護司の相談体制強化なども盛り込んだ。

また、9月からは保護観察付き執行猶予判決を受けた対象者について、保護観察官による直接処遇も試験的に開始する。

保護司は犯罪や非行をした人の更生を支える民間ボランティア。法相から委嘱を受けた非常勤の国家公務員の身分を持つが、給与は支給されない。高齢化や担い手不足も課題となっている。

同省は事件後、保護観察を担当する全国の保護司(1万6184人)を対象に聞き取り調査を実施。9.1%に当たる1480人が活動に不安を感じていると回答した。同省は8月末までに担当していない保護司も調査し、秋にも追加の安全確保策を講じる。

党法務部会(部会長=大口善徳衆院議員)は6月17日、政府に対し、保護司の安全確保に関する提言を提出。自宅以外の面接場所の確保や保護司の複数担当制、対象者の特性に応じた保護観察官による直接処遇を提案していた。

性別変更 手術以外の要件が妥当

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法改正 当事者中心で検討すべき
党PT、識者から見解聴く

特例法改正の論点について南氏(左端)の見解を聴く党PT=18日 衆院第2議員会館

公明党性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム(PT、座長=谷合正明参院幹事長)は18日、衆院第2議員会館で性別変更に関する審判などに多く携わる南和行弁護士から、性同一性障害特例法改正の論点について聴いた。

同法が定める性別変更の5要件を巡っては、最高裁が昨年、生殖能力をなくす「生殖不能要件」を違憲としたほか、広島高裁が今月10日、変更後の性別の性器と外観が似ている「外観要件」も「違憲の疑いがある」とした。

この審判で代理人を務めた南氏は外観要件について、女性が男性の外観に似せる場合、形成手術が物理的に難しいなどの理由から、そのほかの4要件などを満たしていれば変更が認められるケースが一般的だったと指摘。一方、男性が女性の外観に似せる場合は性器の切除などをしなくてはならず、生物学的な性別によって適用のハードルが異なっていたとして、高裁決定も踏まえ「手術ではない要件への変更が妥当ではないか」と述べた。

さらに南氏は、特例法改正の方向性について「当事者の意思や生きづらさを中心に考えるべきだ」との認識を示したほか、性別変更の判断を医師だけに委ねるのではなく、裁判官も責任を持つ必要性を強調した。

会合では、自認する性での一定期間の生活や治療継続を新たな要件とすることの是非などについて、参加議員と南氏が意見を交わした。

旧優生保護法 新たな救済へ議論開始

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違憲判決受け初会合
党プロジェクトチーム

旧優生保護法の被害者救済へ議論を開始した党プロジェクトチームの初会合=11日 衆院第2議員会館

障がいなどを理由に不妊手術を強制した旧優生保護法(1948~96年)を違憲として、国の賠償責任を認めた最高裁判決を受け、公明党の「旧優生保護法被害補償等検討プロジェクトチーム」(PT、座長=佐藤英道衆院議員)は11日、衆院第2議員会館で初会合を開き、被害者に対する新たな救済措置について議論を開始した。

冒頭、佐藤座長は同手術に関し「非人道的かつ明らかな人権侵害で断じて許されない」と強調。超党派議員連盟での議論も踏まえつつ、党として「被害者に寄り添い、新たな補償について、速やかに対策が実行されるよう検討する」と述べた。

同PTでは今後、補償の対象範囲や金額などについても議論していく。PTの体制は次の通り。

▽顧問 古屋範子

▽座長 佐藤英道

▽副座長 山本香苗、伊佐進一、佐々木さやか、庄子賢一

▽事務局長 伊藤孝江

旧優生保護法 新たな補償へ迅速に対応

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超党派議連 違憲判決受け総会
伊藤(孝)氏が出席

伊藤(孝)氏(中央)らが出席した超党派議連の総会=9日 衆院第1議員会館

障がいなどを理由に不妊手術を強制した旧優生保護法を違憲として、国の賠償責任を認めた3日の最高裁判決を受け、被害者支援の仕組みを検討する超党派の議員連盟が9日、衆院第1議員会館で総会を開いた。公明党から伊藤孝江参院議員が出席したほか、手術を受けた当事者や弁護団、支援者らが同席した。

旧優生保護法では、1949年から96年までに約2万5000件の不妊手術を実施。2019年に、手術を受けた人たちに一時金320万円を支給する救済法が議員立法で成立したが、認定件数は1110件(今年5月末時点)となっている。

会合では、全国被害弁護団の新里宏二共同代表が「国は猛省するべきだ。秋の臨時国会で全ての被害者救済のための制度を作ってほしい」と強調。第三者機関による検証や、偏見・差別の根絶、被害者への情報の周知なども訴えた。

同議連は今後、新たな補償に向けて制度設計の検討を進める。

総会終了後、伊藤氏は「重大な被害を償うに足りる補償が十分になされるべきだ。党としても全力を尽くす」と述べた。

今秋に中間取りまとめ

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政治資金巡る「第三者機関」で議論
党PTが方針

第三者機関のあり方を巡り意見を交わした党PT=4日 衆院第1議員会館

公明党の「改正政治資金規正法実施推進プロジェクトチーム」(PT、座長=若松謙維参院議員)は4日、衆院第1議員会館で会合を開き、改正政治資金規正法を受け政治資金をチェックする第三者機関のあり方を巡り、議論した。

会合では国立国会図書館から収支報告書の監査や調査の権限を持つ米国の連邦選挙委員会(FEC)など他国の政治資金制度や監督機関について聴取し、意見交換した。

終了後、同PTの中川康洋事務局長(衆院議員)は、秋頃をめどに第三者機関に関する中間取りまとめを作成した上で、政治団体の代表者(議員)が収支報告書を確認したことを示す「確認書」制度などを検討する意向を示した。

“性別変更巡り党PTが見解公表” 法改正の検討 早急に

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「生殖不能」削除、「外観」見直しへ

党としての見解を公表する谷合座長(中)ら=3日 衆院第2議員会館

公明党性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム(PT)の谷合正明座長(参院幹事長)は3日、衆院第2議員会館で記者会見し、性同一性障害特例法の早急な見直しに向けた党の見解を公表した。同PTの伊藤孝江事務局長(参院議員)、党同性婚検討ワーキングチームの国重徹座長(衆院議員)が同席した。

同法が定める性別変更に必要な要件を巡って最高裁は、生殖能力をなくす「生殖不能要件」を違憲としたほか、変更後の性別の性器と外観が似ている「外観要件」の審理を高裁に差し戻している。

会見で谷合座長は、同法について、施行後1万人以上が性別変更したことから「意義は極めて大きい」と評価した。一方で、生殖不能要件に加えて外観要件が違憲と判断され、代替措置がないまま性別変更が認められるようになれば、性別変更した人に対して「『なりすまし』の可能性があるのではないか」との間違った認識につながる可能性に言及。「性別変更という制度全体に悪影響を及ぼしかねない」と指摘した。

その上で、生物学的な性と心理的な性の不一致で苦しむ人に寄り添いながら、社会の不安を取り除くため、議論の方向性として①生殖不能要件の削除、外見要件の見直しと新たな要件の検討②医師の診断の十分な正当性確保③性別変更に必要な「子なし要件」のあり方の検討④「性同一性障害」という名称が、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類では「性別不合」となっていることを踏まえた法律名などの見直し――の4点を示した。

谷合座長は「これらの論点の結論を出すことが大事だ。自民党にも協議に参画してもらうよう求めていく」と述べた。

性別変更 要件見直しへ

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「生殖不能」削除、名称など
党PTが議論

特例法の見直しについて議論した党PT=26日 衆院第2議員会館

 

公明党性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム(PT、座長=谷合正明参院幹事長)は26日、衆院第2議員会館で会議を開き、性同一性障害特例法の見直しについて議論した。

同法が定める性別変更の要件を巡って最高裁は、生殖能力をなくす「生殖不能要件」を違憲としたほか、変更後の性別の性器と外観が似ている「外観要件」の審理を高裁に差し戻している。同法では、その他に「未成年の子がいない」ことなどを定めている一方、今月21日には、男性から性別変更した女性と、凍結精子を用いて女性パートナーとの間にできた未成年の子どもとの父子関係について「(認めなければ)子の利益に反する」とした最高裁判決が出ている。

こうした経緯を受け、谷合座長らは生殖不能要件の削除について議論。外観要件、未成年の子なし要件の変更や、2人以上の医師による診断の正当性確保に向けた検討が行われた。また、「性同一性障害」という名称に関して、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類では「性別不合」となっていることを踏まえた変更の必要性について、意見が交わされた。

<お知らせ>今後、「性同一性障害」については、WHOの国際疾病分類で用いられている「性別不合」と表記します(現行法令などを除く)。

「公明の力添えに感謝」

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首相が山口代表らを表敬

第213通常国会が事実上閉幕した21日、公明党の山口那津男代表は、国会内の参院公明党控室で岸田文雄首相らの表敬を受けた。

岸田首相は、自民党派閥の政治資金問題を巡る対応が最大の焦点となった今国会について「大変厳しい、苦しい国会だった」と振り返った上で、「公明党の皆さんのお力添えのおかげで、こうして会期末を迎えることができた。心から感謝申し上げます」と述べた。参院公明党の西田実仁会長、谷合正明幹事長、竹谷とし子国会対策委員長らが同席した。

これに先立ち、岸田首相は衆院公明党控室も表敬。石井啓一幹事長、古屋範子副代表、佐藤茂樹国対委員長らが応対した。

岸田首相(最前列左から2人目)の表敬を受ける山口代表(右隣)=21日 国会内

保護司の安全、確保せよ

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自宅以外の面接場所が必要
公明が法相に提言

小泉法相(中央)に提言する大口部会長(右隣)ら=17日 法務省

大津市で保護司を殺害したとして保護観察中の容疑者が逮捕された事件を受け、公明党の法務部会(部会長=大口善徳衆院議員)と再犯防止対策強化プロジェクトチーム(座長=佐々木さやか参院議員)は17日、法務省で小泉龍司法相に対し、再犯防止の強化と保護司の安全確保に関する緊急提言を申し入れた。小泉法相は「迅速に対応していく」と応じた。提言では事件について「保護司制度の根幹を揺るがしかねない事態だ」と指摘し、速やかに保護司とその家族の不安解消に努めるとともに、保護司が利用できる自宅以外の面接場所の確保や、トラブル・再犯の予兆を的確に把握し対処できるよう保護観察対象者へのアセスメント(評価)の充実などを強く求めた。

また、女性を含む保護司適任者の確保を要請。保護観察所の職員増員、更生保護地域連携拠点事業の全国展開も訴えた。

ヤングケアラー支える

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伊藤(孝)氏 関係団体の会見で力説
改正子ども・子育て支援法成立巡り

記者会見であいさつする伊藤(孝)氏(右端)=10日 厚労省

 

日常的に家族の世話や介護を担うヤングケアラーへの支援が初めて法制化された改正子ども・子育て支援法などの成立を受け、10日に一般社団法人「日本ケアラー連盟」が厚生労働省内で開いた記者会見に、同法改正を推進した公明党の伊藤孝江参院議員らが同席した。

あいさつした伊藤氏は、同連盟がヤングケアラーへの理解を広げてきたことに謝意を表明。自身もヤングケアラー支援に公明など3党協議の実務者として取り組んできたと説明し「今回の改正は支援の地域差の解消が目標の一つだ」と語った。

また「ヤングケアラー」という言葉を知ってもらい、関心を高めることが早期発見・対応につながると強調。「家庭の事情で自身の生活が立ち行かなくなったり、家庭ごと壊れそうになる状況を抱えたりする人の力になれるよう、これからも政策を進める」と語った。

記者会見では、同連盟が改正法について声明を発表。子ども・若者ケアラー支援が法的根拠を持ち、国・自治体の支援対象であると明記されたことなどを評価した。その上で、支援の対象範囲など、運用に万全を期すよう求めるとともに「自治体によって支援の濃淡が出ないよう、国のバックアップの下で多くの自治体が具体的に取り組むことを期待する」と訴えている。

【てい談】 法テラス〝悩み〟解決へ活躍

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「総合法律支援法」成立から20年
法テラス理事長 丸島俊介×党青年委員長、衆院議員 国重徹×党法務部会長代理、参院議員 伊藤孝江

日本司法支援センター(法テラス(メモ))を設置する「総合法律支援法」が2004年5月に成立してから20年。法テラスは06年10月の業務開始以来、国民の“悩み”に寄り添い、問題解決に向け活躍しています。法テラスの丸島俊介理事長と、公明党で弁護士出身の国重徹・青年委員長(衆院議員)、伊藤孝江・法務部会長代理(参院議員)が意義などを語り合いました。

法テラス
国の全額出資で設立された公的機関で、トラブル解決へ、電話・メール・対面での情報提供をはじめ、経済的に余裕のない人のために無料の法律相談や弁護士・司法書士費用などを立て替える「民事法律扶助」を実施している。国選弁護人に関する業務や犯罪被害者支援、法律家が少ない「司法過疎地」に事務所を設けて常駐のスタッフ弁護士を勤務させる取り組みも行う。現在、全国に103カ所の事務所があり、2023年度の無料法律相談の実施件数は31万件(速報値)を超す。

■司法と福祉の連携に期待(丸島)
■公明、創設時から一貫推進(国重)

伊藤 丸島理事長は、1999年に政府の司法制度改革審議会の主任専門調査員となり、法テラス創設の議論から携わってこられました。

国重 当時は、民間の法律扶助協会が、国の補助を受けながら、経済的に厳しい人へ裁判費用の立て替えなどの民事法律扶助を行っていました。しかし、事業は法制化されておらず、予算も非常に限られていた状態だったと伺っています。

丸島 その通りです。国民に司法の“敷居”は高かったのが実態でした。国民が利用しやすい司法サービスの実現を求めて、90年代から司法制度改革が議論されるようになりました。

私は諸外国の法律扶助制度を調べましたが、印象的だったのは米国・ニューヨーク市の貧民街に設けられた公設弁護士事務所の光景です。弁護士が福祉・雇用などの専門家と連携し、貧困から罪を犯した人の更生と生活再建へ包括的に支援していました。社会から疎外されたあらゆる人の尊厳を守ろうとする姿に「日本ではまだ遠い光景かもしれないが、いつか実現したい」と思いました。

伊藤 そうした調査報告を参考に日本の司法制度改革が実施され、その柱の一つとして結実したのが、法テラスですね。

国重 憲法や法律で権利を定めていても、それを実現するための法的支援が受けられなければ、権利は絵に描いた餅になります。だからこそ公明党は誰もが利用しやすい司法サービスの実現に尽力してきました。87年には故・冬柴鉄三衆院議員が法律扶助制度を国の責務として位置付ける独自の法案を発表。国会でも先輩議員が粘り強く取り上げ、2000年に初めて国の責務を明記した民事法律扶助法を制定できました。これが、さらに発展し、法テラスの創設につながっています。

丸島 公明党が後押ししてくれ、司法制度改革や法テラスの創設につながったことは、よく理解しています。

■110万人の署名を政府に届け後押し

伊藤 私も弁護士時代、受任した事件で法テラスを利用したことが数多くあります。困難を抱えた人に司法による解決の選択肢を示し、人生を前向きに考えられるようにできたのは大きいと思います。

国重 法的トラブルに巻き込まれやすい青年世代にも法テラスの支援は重要です。公明党青年局は、若者への法的支援を充実させるため、05年に110万人の署名を政府に提出するなど、取り組みを後押ししました。

丸島 若者は、消費契約の問題や職場のパワハラ問題などを抱えがちですが、利用者数は他の年齢層に比べてまだ少数です。利用を促すため法テラスは、若者向けの動画投稿サイトなどで広報に力を入れています。

伊藤 若者だけでなく弱い立場にある人が気軽に相談できることが大事です。法テラスは、その体制を整えてきました。16年に総合法律支援法を改正し、高齢者・障がい者への訪問相談や、資力にかかわらずDV(配偶者らによる暴力)・児童虐待の被害者が、いち早く法律相談できるようになったのは、その一例ですね。

丸島 はい。社会の課題と向き合い、業務を拡大させてきました。その中で「司法と福祉の連携」が生まれています。

九州のある離島では、高齢者の多くが権利侵害のリスクにさらされている実態を踏まえ、法テラスのスタッフ弁護士が島内の福祉関係者と連携して支援に乗り出し、成年後見制度の受け皿となる権利擁護センターを設立したケースもあります。こうした取り組みが、今後、発展していくことを期待します。

 

■被災者に無料の法律相談(丸島)
■ひとり親世帯の負担軽く(伊藤)

国重 近年、災害が激甚化し、さまざまな法的問題に直面する被災者も多くいます。私も弁護士時代、東日本大震災の発災直後、少しでも被災者の力になりたいと福島県へ法律相談に赴きました。相談を通じて被災者が安心される姿が、今も心に強く残っています。

丸島 東日本大震災では特例法により12年4月から、被災者の資力にかかわらず法テラスで無料の法律相談ができるようになりました。ここで培った経験は、その後の被災者を支える取り組みに役立っています。

国重 16年5月に公明党が推進した法改正により、大規模災害における資力を問わない法テラスの無料法律相談が恒久化されました。熊本地震から適用され、多くの被災者の生活再建に貢献していると伺っています。

伊藤 今年1月に発生した能登半島地震でも法テラスは、移動相談車両「法テラス号」を派遣し、弁護士が被災者の法律相談に応じていますね。

丸島 はい。今は地震による損害賠償や不動産関係などの相談が多いと聞きます。被災地のニーズは刻々と変化しており、今後、二重ローンなどの相談も増えると見込まれます。高齢化が進む地域だけに、弁護士と地域の福祉関係者との連携をどう深めるかが鍵を握ります。

伊藤 尽力されている弁護士の皆さまに感謝申し上げます。被災者の安心につながるよう、公明党も力強く後押ししていきます。

 

■犯罪被害者らを早期から継続支援

丸島 近年、法テラスは、被災者支援以外でも、旧統一協会の被害者への法律相談など新たな役割を次々担っています。

今年度からは養育費の不払い案件で、法テラスが立て替えた弁護士費用を、中学生以下の子どもを育てるひとり親の困窮世帯は免除を可能とする事業も始まりました。

伊藤 ひとり親世帯の負担軽減へ公明党が訴えていた政策で、子どもの貧困対策につながる大事な取り組みですね。

国重 今国会では犯罪被害者や遺族らが、早い段階から法テラスの弁護士による継続的な支援を受けられるようにする法改正も行われました。26年までに施行される予定で、法テラスの役割は一段と大きくなります。

丸島 法テラスの業務は質・量ともに増える中、これを担う職員数は限られます。業務のデジタル化などを進めつつ、地域との連携を深め、期待に応えたいと思います。

国重 公明党も現場の声を伺いながら、施策の裏付けとなる予算の確保も含めて全力で法テラスを応援する決意です。

 

まるしま・しゅんすけ

1951年生まれ。東京大学法学部を卒業後、78年に弁護士登録。日本弁護士連合会事務総長などの要職を務め、2017年10月に法テラス常務理事に就任。22年4月から現職。東京パブリック法律事務所の2代目所長として法テラスのスタッフ弁護士の養成にも尽力。

政規法改正で信頼回復を

公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。

与党協議、公明案を前提に 
参院予算委で伊藤(孝)氏

参院予算委員会は24日、岸田文雄首相らが出席して政治資金など内外の諸課題に関する集中審議を実施した。公明党から伊藤孝江氏が質問に立ち、自民党派閥の政治資金問題を受けた政治資金規正法の改正について、政治への信頼回復と再発防止のため、今国会での実現を改めて要求。その上で今後の与党協議では、公明党の改正案を前提に検討を進めるよう迫った。


質問する伊藤(孝)氏=24日 参院予算委

伊藤氏は、政規法改正の自民党案が23日に公表されたことに対し「公明党が国会開会時から訴え、ようやく議論の土台が示された」と強調。「当事者である自民党自身が国民の声を受け止め、真摯に、積極的に関わっていくかが問われる」と姿勢をただした上で、政治改革に向けた議論について「水面下で話をして決めていくのでなく、国民に見える形で進めていかなければならない」と訴えた。

さらに伊藤氏は、公明党としては、政治資金の透明性向上に向けてパーティー券購入者名の公開基準を引き下げるなど具体案を提示しているものの、「自民党案では結論が出ていない検討項目も多くある」と指摘。「自民案に固執するのでなく、公明党案も前提に、国民の信頼を得るためにどうすべきかを真摯に検討し、協議に臨んでもらいたい」と主張した。

岸田首相は「自民党の取りまとめでも、政治資金パーティー収入の透明性は課題として掲げている。これらも含め、与党として真摯に協議していきたい」と応じた。

不登校対策、教員の意識 改革せよ
一方、伊藤氏は、増加する小中学生の不登校問題を巡り、文部科学省の委託事業として実施した、不登校の要因分析に関する調査結果に言及。当事者である児童生徒とその保護者からは、教員とのトラブルが不登校のきっかけになったなどとする回答の割合が教員の回答と比べて高く、認識に大きな差があったことを指摘し「教員の意識改革を進めるべきだ」と対策を求めた。

盛山正仁文科相は「教育委員会などの関係者に対して内容を周知し、教職員が児童生徒の状況を多面的に把握するための研修を実施する」と述べ、スクールカウンセラー配置など相談体制の充実も進める考えを示した。