(ズバリ聞きます!)養育費の未払い問題

公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。

 

答える人=党法務部会副部会長(参院議員) 伊藤孝江さん

離婚相手から子どもの養育費が払われず、困窮するひとり親世帯は少なくありません。未払い防止へ法務省は、離婚時の取り決めがなくても請求できる「法定養育費」を「月2万円」とする省令案をまとめ、調整を進めています。未払いの背景や防止策について党法務部会の伊藤孝江副部会長(参院議員)に聞きました。

■Q 状況はどうなの?
■A 受け取る母子世帯は28%。経済的な困窮につながる

アスカ 養育費の未払いの状況を教えてください。

伊藤 養育費は、親権の有無にかかわらず別居親が支払う義務があります。しかし、国が2021年に実施した調査によると、離婚後に養育費を受け取っている母子世帯は28.1%、父子世帯は8.7%でした。

そもそも、養育費の金額や支払い方法についての取り決めをしているのは母子世帯で46.7%、父子世帯で28.3%にすぎません。

アスカ なぜ、未払いが起きるのでしょうか。

伊藤 「子どもに会えないので支払うのをやめた」といった感情の対立や、別居親の収入減などの経済的な事情が複雑に絡み、滞るようです。裁判で差し押さえしようとしても、公正証書などの公文書が必要で、労力が掛かります。一方、元配偶者から暴力を受けていた人が「離婚後は関わりたくない」と請求を避けるケースもあります。

こうした未払いが要因の一つとなり、ひとり親世帯の相対的貧困率は44.5%と、大人が2人以上いる世帯(8.6%)よりも高くなっています。

■Q 防止策は
■A 取り決めなしで一定額を請求できる新制度創設へ

アスカ 未払い防止への取り組みは。

伊藤 政府は、31年までにひとり親世帯の養育費を受け取る割合を40%まで引き上げる目標を掲げています。その大きな一歩が、来年5月までに施行される改正民法に基づき創設される「法定養育費」です。

これは、父母間で取り決めがなくても暫定的に一定額を請求できる制度です。具体的な金額について法務省は、生活保護基準やひとり親家庭の消費支出額などを踏まえて「子ども1人当たり月2万円」とする省令案を公表しています。

離婚した日から請求できるので、ひとり親世帯のセーフティーネット(安全網)になると期待されます。ただ、あくまで暫定措置であり、話し合いで適正額を決めることが望まれます。

アスカ 養育費を差し押さえるための手続きも簡単になるようですね。

伊藤 はい。養育費には、他の債権に優先して弁済を受けられる「先取特権」(一人当たり月8万円まで)が付与され、父母間で合意した文書だけで給与や預金の差し押さえ手続きができるようになります。

■Q 公明党の取り組みは
■A 子どもの利益を最優先に法改正の実現などに尽力

アスカ 党の取り組みは。

伊藤 「子どもの利益を最優先に」という理念の下、養育費の未払い問題の解消に取り組んできました。

当初、養育費は父母間の私的な取り決めとされ、国はほとんど関わっていませんでした。しかし、日本のひとり親世帯の困窮が深刻な現実を踏まえ、公明党は「国が積極的に関与すべき」と主張しました。20年6月に党内にプロジェクトチームを設置し、議論を重ね、昨年2月に政府へ法定養育費の創設を提言。同年、法改正を実現しました。

また昨年6月に成立した改正子どもの貧困対策推進法には、ひとり親世帯が受け取る養育費の割合も貧困の指標に加わりました。

アスカ 今後は。

伊藤 新しい養育費の制度の周知が重要です。別居親も子どもの養育に関わる義務があることや、別居親が子どもの養育に関わることが子どもの成長に大切であることも併せて伝えていきたいと思います。また、就労支援などを通じて、ひとり親世帯の収入増にも力を入れる決意です。