「リアルにも居場所はある」
公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。
脱ネット依存へ離島キャンプ
兵庫県で伊藤氏ら視察
ネットやゲームとの上手な付き合い方を考えよう――。兵庫県は今年8月、姫路市沖の瀬戸内海に浮かぶ家島諸島の西島にある県立いえしま自然体験センターで、子どもたちがスマートフォンなどを手放して4泊5日の共同生活を送る「人とつながるオフラインキャンプ2024」を開催。このほど行われたフォローアップの日帰りキャンプには、公明党の伊藤孝江参院議員、麻田寿美、里見孝枝の両県議も参加した。
■子どもら対象、スマホとの距離見直す
子どもたちと一緒にカレーライスを食べながら交流する伊藤氏(奥左端)と、(右から)麻田、里見の両氏
健康や生活に支障を来す「ネット依存」が社会問題となる中、「オフラインキャンプ」は全国初の試みとして16年から始まり、今年で9回目。兵庫県立大学の竹内和雄教授と同大学の学生らが中心に運営を担い、文部科学省の「青少年教育施設を活用した生活習慣等改善推進事業」にも採択されている。
対象は、日常生活での過度なネットやゲーム利用を見直したい県内在住の小学5年生から18歳までの男女。今年は18人が参加した。
8月のメインキャンプでは、スマホや携帯ゲーム機を回収。子どもたちのメンター(助言者)となる大学生らと一緒に、海水浴やカヌー、野外調理などを体験するとともに、参加者同士でネットやゲームとの距離の取り方、互いの夢や目標を話し合った。
スマホやゲームは“ネット断食”ではなく、1日1時間の利用枠を設定。その時間を何に使うかは自由であり、「『リアルの側にも君の居場所があるんだよ』と再認識させる」(竹内教授)ことを狙う。
今月10日のフォローアップキャンプは、メンターが一人一人と面談。夏のキャンプで立てた目標を振り返り、次の目標実現や軌道修正に向けたアプローチを一緒に考えた。
中学2年生の中山勇治さん(仮名)は、キャンプへの参加を通じて「前より学校に行けるようになった。大学生たちが話を聞いてくれたから」と、照れながらもメンターへの感謝を口に。同大学3年生の竹山美空さんは「家では言いにくいことも、歳が近い学生だからこそ心を開いてくれたと思う」と語り、伴走支援の大切さを肌で感じていた。
一方、この日のキャンプでは保護者向けのプログラムも実施。精神保健福祉士によるネット依存やゲーム障害への介入方法に関する講義では、依存行動を安易に否定せず、本人の自己肯定感を高め、主体性を導く声掛けの重要性を学んだ。
■同時に保護者向けプログラム
「自己肯定感高める声掛けを」
県と竹内教授らによる過去の参加者の追跡調査・分析では、「保護者との関係」「学校への登校」「ネットへの課金」などの項目で80%以上の改善率を示し、その効果が長期的に続いているという。同キャンプに同行した文科省の担当者は「年々磨き上げ、全国的にみても最も充実した取り組み」と高く評価していた。
伊藤氏らは、かまどで作ったカレーライスを子どもたちと一緒に食べながら交流したほか、竹内教授らの保護者面談の様子も見学。「スマホを使う時間が半分に減った」「看護師になる目標を持ち始めた」など、参加を機に芽生えたわが子の成長を喜ぶ声が数多く聞かれた。
視察後、伊藤氏は「デジタル化が進む中、その利便性だけではなく、向き合い方を子どもと保護者の双方が学べる場になっている。今後も継続できるよう、県議と連携して後押ししたい」と語った。