計画進む「文化財修理センター」

公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。

持続可能な保存・活用へ
文化庁が基本構想を公表

文化庁は、2030年度までに国立の「文化財修理センター」(仮称)を京都に整備する計画を進めている。美術工芸品などの有形文化財(以下、文化財)の修理を一元的に調整・管理する機関で、昨年末に基本構想が公表された。文化財修理の現状と課題、同基本構想の内容を解説する。

■修理は所有者責務だが人材・資金確保が困難

文化財は、国の歴史や文化の理解に欠かせない国民の財産であり、観光など地域の活性化にも重要な役割を果たす。この文化財を未来に残すには、10~20年ごとの応急修理や50~100年ごとの本格修理などを適切に施す必要がある。

修理は文化財保護法において、所有者の責務とされている。所有者の多くは、個人や宗教法人、地方自治体などで、修理が必要になった場合は個別に対応している。

 

文化財保護法

1949年の奈良・法隆寺金堂壁画の焼損を契機として文化財保護の機運が高まり50年に成立。文化財を「有形文化財」「無形文化財」など6類型に定義し、「国宝」「重要文化財」などに指定できると規定している。今月1日現在、美術工芸品の国宝に906件、それらを含め重要文化財に1万872件が指定されている。

 

文化庁が文化財修理センターの整備を進める背景には近年、人材や予算の不足などで、必要な修理を受けられない文化財が増えていることがある。

具体的な課題としては、修理全体をコーディネートする人材の不足のほか、修理の推進と質の管理を行う主体が不明確なこと、修理スペースの不足などが挙げられている。

加えて、文化財修理に欠かせない修理技術の継承や用具・原材料の確保が、関連事業者の減少などで困難になっている。

こうした状況を改善するため文化庁は21年、文化財の持続可能な保存と継承体制の構築を目的とした5カ年計画「文化財の匠プロジェクト」を策定。文化財修理センターの整備は、このプロジェクトの中に盛り込まれた。

 

文化財の匠プロジェクト

文化財の修理技術や必要な原材料を次世代に引き継ぐ体制を構築する文化庁の取り組み。2022~26年度の5カ年計画。選定保存技術保持者の増員や、補助対象となる原材料の品目拡大、文化財の防火・耐震対策などを進めることが盛り込まれている。

 

■一元的なサポートで官民の取り組み促進

今回公表された文化財修理センターの基本構想では、その役割について①修理の推進②調査研究を着実に実施するための修理・研究体制の構築③人材育成④情報発信(普及啓発)――を掲げ、持続可能な文化財の保存・活用サイクルの実現をめざすとしている。

具体的には、最新設備を取り入れた施設を整備し、修理の相談受け付けから資金調達のサポート、修理の実施・アフターケアまで一元的に業務を管理する。新たな修理スペースを確保し、修理技術と用具・原材料の調査・研究も推進する。

人材育成に関しては、文化財の所有者や博物館学芸員らに対する研修の充実を図るとともに、新たな人材を掘り起こすため、修理技術者をめざす人材と後継者を希望する民間工房とのマッチングを行う。

情報発信では、社会全体で文化財修理を支える機運を高めるため、修理の様子を見学できる場の提供や動画配信などを実施する。

さらに、文化財の修理は現在、主として京都国立博物館などにある修理施設を使って民間の修理工房が行っていることから、官民の修理業務を調整する司令塔としての役割も期待されている。

永岡桂子文部科学相(当時、中央)に文化財修理センターの整備などを求める党文化芸術振興会議=昨年6月 文科省

 

■公明、強力に推進

公明党は、文化芸術立国を進める観点から、文化財修理の体制強化を訴えてきた。

実際に、修理工房などに足を運んで関係者から状況を聴き、国会質問や政府への提言で支援の必要性を主張。21年には浮島智子衆院議員が国会質問で、修理の担い手の育成や必要な原材料・用具確保への支援を訴え、国として計画を整えるよう要請、匠プロジェクトの策定につなげた。文化財修理センターについても、昨年の党提言で設置を申し入れるなど推進してきた。