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公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。

政府が発表した返済不要な給付型奨学金の対象拡大と、高騰する輸入小麦の売り渡し価格据え置きについて解説する。

給付型奨学金の対象拡大


給付型奨学金の対象拡大などを末松文科相(当時、中央右)に提言する党教育改革推進本部=4月28日 文科省

修学支援に関する政府の工程表に明記。これまでの年収要件を緩和し、理系学生や多子世帯などの中間所得層も加える
Q 給付型奨学金の支給対象が拡大されると聞いた。

A 政府の「教育未来創造会議」(議長=岸田文雄首相)が2日に公表した、修学支援の工程表に盛り込まれた。2024年度から中間所得層にも拡大することが柱だ。

現在、給付型奨学金や授業料などの減免を含めた高等教育無償化は、年収の目安が約380万円未満の低所得世帯の学生が対象だ。

工程表では、授業料が高くなりがちな理工系、農学系の学生や、多子世帯などの中間所得層へ支給対象を拡大する方針を示した。今後、法改正を含めて検討し、支援すると記している。

Q 既存の貸与型奨学金はどうなるのか。

A 無利子・有利子にかかわらず、返還中の既卒者も含め、結婚や出産といった人生の段階に応じて柔軟に返還できるよう減額返還制度の見直しを進める。大学院生を対象に、在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に連動して返還する「出世払い」方式の導入も検討。工程表では、これらも24年度からの開始と明記した。

Q 奨学金以外の修学支援策は。

A 工程表では、デジタルや脱炭素など成長分野の人材育成のため、大学の統合や理工系学部の再編などに伴う初期投資や運営経費の支援を実施することも盛り込まれた。これに関連して理系学部の設置基準を緩和する方針だ。23年度から順次行う。

国立高専などの機能強化に向けても、産業界とも連携した教育カリキュラムを検討し、デジタル、半導体分野などで実践的な教育を24年度から開始するなど環境整備を促進する。

Q 公明党の取り組みは。

A 給付型奨学金などの充実については、公明党が長年主張してきた。

特に今回の工程表に関しては、政府の提言に先立ち、4月に末松信介文部科学相(当時)に対して、負担の大きい多子世帯や、授業料が他学部よりも高く設定されるケースの多い理工・農学系に拡充するよう要請。返還支援の充実なども訴えていた。

輸入小麦の価格据え置き
政府が9日に決定した物価高対策の一つ。国際的な高騰を反映すると10月改定で2割程度の値上がりが見込まれていた
Q 輸入小麦の価格決定の仕組みは。

A 小麦は需要量の8~9割が外国産だ。政府が国家貿易で一元的に買い付け、製粉業者などに売却している。売り渡し価格は、国際市況や為替相場に連動する形で毎年4月と10月に改定している。

昨年夏の干ばつで米国やカナダ産の小麦が不作になった結果、小麦の国際価格は高水準で推移していた。さらに、ロシアのウクライナ侵略が価格高騰に拍車を掛けた。両国とも世界有数の小麦輸出国であり、供給懸念が一気に高まったからだ。

このため今年4月の改定では、業者への売り渡し価格は17.3%の値上げとなった。

10月にも2割程度の値上げが予想されていたが、小麦の値上げは食品価格への影響が大きいため、政府は今月9日に売り渡し価格の据え置きを決めた。

Q その先の見通しは。

A 来年4月以降の売却価格については、算定方法を変更する。これまでは、半年間の買い付け価格を踏まえて売却価格を算定したが、これを過去1年間分を基準にし、市況変動の影響を平準化する。実際、国際的な小麦価格は、ウクライナ危機で一時は2倍近くになったが、7月ごろには危機前の水準に落ち着いている。

Q 今回の据え置き措置が小麦粉製品の価格に与える影響は。

A 小麦粉製品の小売価格には、加工する際に使用する油や電気などの費用が加わるが、いずれも値上がりしている。こうした中で、原料である輸入小麦の価格を据え置くことで、一定の値上げ抑制効果が期待できる。

Q 公明党も据え置きを主張していたのか。

A 物価高騰について公明党は、3月に他党に先駆けて、党国民生活総点検・緊急対策本部(本部長=石井啓一幹事長)を立ち上げて以来、提言や要望を重ねている。

この中で、パンや麺類などの原料である輸入小麦の価格高騰は家計への影響が大きいことから、10月以降の売り渡し価格据え置きも政府に強く訴えていた。このほか政府に対し、国産小麦や米粉の活用などを求めてきた。

給付型奨学金を拡充へ

公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。

24年度から中間層に拡大 
多子世帯、理工農学系が対象 
公明、強力に推進


主な改革のスケジュール

公明党が強力に推進してきた高等教育無償化の対象拡大が具体化へ――。政府の「教育未来創造会議」(議長=岸田文雄首相)は2日、返済不要な給付型奨学金の対象を2024年度から中間所得層にも拡大することなどを盛り込んだ工程表を公表した。工程表は、今年5月に同会議が取りまとめた提言を着実に実行に移すため、目標と期間を明示したもの。大学の理工系学部の再編などの支援を23年度から実施することも記した。

現行の高等教育無償化は、年収の目安が約380万円未満の低所得層の学生を対象に、授業料などの減免に加え給付型奨学金を支給。工程表では、中間層の多子世帯や理工系、農学系の学生への対象拡大の提言を受け、法改正を含めて検討した上で24年度から支援すると記した。

減額返還制度の充実も
また貸与型奨学金の返還支援制度も充実に向け動き出す。無利子・有利子にかかわらず、返還中の既卒者も含めて、結婚や出産といったライフイベントに応じて柔軟に返還できるよう減額返還制度の見直しを進める。大学院生を対象に、在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に連動して返還する「出世払い」方式も導入を検討。いずれも24年度からの開始と明記した。

一方、デジタルや脱炭素など成長分野の人材育成のため、大学の統合や理工系学部の再編などに伴う初期投資や運営経費の支援については、23年度から順次実施する。高専などの機能強化に向けては、産業界とも連携した教育カリキュラムを検討し、デジタル、半導体分野などで実践的な教育を24年度から開始するなど環境整備を促進する。

岸田首相は5月の教育未来創造会議で「人への投資を通じた成長と分配の好循環を、教育や人材育成においても実現することは新しい資本主義の実現に向けての喫緊の課題だ」と強調。工程表を作成し、着実に実行するよう指示していた。


給付型奨学金の対象拡大などを末松文科相(当時、中央右)に提言した党教育改革推進本部=4月28日 文科省

給付型奨学金などの充実については、公明党が長年主張してきた。特に、政府の提言に先立ち、4月に末松信介文部科学相(当時)に対して、負担の大きい多子世帯や授業料が他学部よりも高く設定されるケースの多い理工・農学系に拡充するよう要請。返還支援の充実なども訴えていた。