ヤングケアラー支援の強化へ 3党幹事長会談

本日(8日)午後、自民・公明・国民民主の3党の幹事長と実務者で、ヤングケアラー支援について協議の場を持ちました。

公明党を代表して、石井幹事長と共に私も参加。今後も3党の枠組みによる政策協議を継続するとともに、法制化の必要性を含めて具体的な支援策を早期に議論していくことで一致しました。

ヤングケアラー当事者の声

ヤングケアラー支援については、先日(5月31日)の参議院予算委員会で質問に立った際にも、私から岸田総理に対して強く訴えたところでもあります。私自身、昨年3月の参議院予算委員会で国による支援強化を主張して以来、ヤングケアラーの問題に取り組む中で、多くの方々から切実なお声を伺ってきました。

ある方は、ご自身の幼少時代をこう振り返っていました。

「両親が心の病で、小学生の頃から家事や家族の世話をおこなっていたんです。満足に食事も取れない。着ている服はいつも同じ。同級生にもからかわれました。小学校高学年になると不登校に……それでも“自分がお母さんを守らなきゃ”と必死でした」

別のご婦人は親としての立場から、言うに言われぬ後悔の念を、打ち明けてくださいました。

「シングルマザーとして、子どもたちを育ててきました。自分は病気を抱え、仕事をすることだけで精一杯。私に代わって、一番上の子が家事全般と幼いきょうだいの世話をしてくれていました。周囲の人たちからは『優しい子だね』『しっかりしているね』と言われて、私もそんなわが子に頼り切っていたんです。でも……こうした状況が長年続いた結果、一番上の子が精神的に追い詰められ、社会生活が営めない状況になってしまったんです。とても、悔やんでいます」

ヤングケアラーの大きな問題は、「子ども自身が気付きにくい」「子ども自身が声を上げづらい」点にほかなりません。だからこそ、周囲の大人がいち早く気付き、声にならない「SOS」のメッセージを受け取って、適切な支援につなげていく必要があります。そのためにも、ヤングケアラーへの理解・関心を国全体として高めていくとともに、支援環境の整備を迅速に進めていかなければなりません。

岸田総理の答弁

子どもの未来を守ることこそ、政治の役割にほかならない――そう岸田総理に訴え、国の支援強化を求めたところ、総理から次のような答弁がありました。

「ヤングケアラーにつきましては昨年5月、厚生労働省と文部科学省の合同プロジェクトチームにおいて取りまとめた報告書に基づいて、その実態把握を進めつつ、相談体制の構築などに取り組んでいるところです。

政府としては、全国的に調査を実施したほか、多機関連携支援マニュアル(多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル)を本年4月に公表をいたしました。

岸田政権としても、来年4月に発足することが予定されている『子ども家庭庁』を司令塔として、ヤングケアラー支援についても省庁横断的に取り組むということにしており、発足を待たずに今年度から体制を強化して、必要な支援を(ヤングケアラー)当事者の方々にしっかり届けて参りたいと思っております」

ヤングケアラー対策を起点に

ヤングケアラー当事者が置かれている状況を一つ一つ、つぶさに見ていくと、そこには「子どもの生活環境にまつわる多様な課題」が含まれていることに気づきます。

急速な少子高齢化や核家族化、共働き世帯の増加、地域のつながりの衰退などが原因で、「ケアラー(ケアする人)を支える大人」の数が減少しています。また「子どもの貧困」と密接に関連しているケースがある点も見逃してはなりません。「きょうだい児(障がいのある子の兄弟姉妹のこと)」や、さらに「ニューカマー(新規入国した外国人)」の方々が抱えている“生きづらさ”にも目を向ける必要があるでしょう。

ヤングケアラーの問題に取り組むということは、現代の子どもたちが直面しているあらゆる問題に取り組むことである――と言っても、過言ではありません。見方を変えれば、ヤングケアラー対策を起点とした時に、「子どもの幸せを最優先する社会」の実現に向けた大きな流れも、生まれていくのではないでしょうか。