疲れ果てる子ども ヤングケアラー支援へ

公明新聞に「伊藤たかえ」の記事が掲載されました。

相談体制、拠点づくり、問題に気付く“目”を 
伊藤(孝)氏 兵庫で専門家と懇談 

過度な家族のケアで疲れ果てる子ども――。公明党兵庫県本部女性局(局長=伊藤孝江参院議員)はこのほど、兵庫県川西市でウイメンズトークを開催。ヤングケアラーの問題を一貫して研究する大阪歯科大学医療保健学部社会福祉士コースの濱島淑恵准教授の講演を聞き、質疑応答を行った。これには伊藤氏のほか同女性局所属の芦田賀津美、竹尾智枝の両県議、麻田寿美川西市議、大西雅子三田市議、藤岡和枝宝塚市議、山本恭子、里見孝枝の両伊丹市議、阪本ひろ子猪名川町議が参加した。


濱島准教授(右端)と質疑応答する伊藤(孝)氏(右から3人目)ら

講演で濱島准教授は、ヤングケアラーについて「難病や要介護、障がいなど家族にケアを要する人がいる場合、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」との日本ケアラー連盟の定義を提示した。

その上で、2016年に大阪府内の公立高校10校、約5000人を対象に自らが行った実態調査の内容を紹介。ケアを要する家族がいると応えた664人(全体の12.7%)のうち、幼い兄弟の面倒を見ているケース(53人)を除き、「ケアをしている」と回答したのは272人だったと説明した。

また、18年と20年の埼玉県内の高校生調査、20年12月から21年1月にかけての中学2年・高校2年対象のウェブ調査にも言及。一連の調査結果を踏まえ、ケアで得られるプラス面として、家族の絆の構築や人のために役立っているという気持ちや、障がいや病気に対する理解・心配りができるようになると強調。一方で、過度なケアによるマイナス面として、授業中の眠気、ケアの多忙さと過労による成績不振、友人関係の行き詰まり、生活環境・衛生面の乱れなどを挙げた。

その上で濱島准教授は、ヤングケアラーの半数は周囲の大人に相談したことがなく、「過度なケアが不登校や虐待、いじめにつながっている事例もある」「学校の教師や介護・福祉の専門家、医療関係者など身近にいる大人も、深刻なヤングケアラーの状態に気付いていない」と訴えた。求められる支援策として、国や自治体による継続的な実態調査の実施をはじめ、地域の大人が「これはヤングケアラーかもしれない」との視点を持つこと、家族ケアの尊さとしんどさの両面を踏まえた理解の周知、関係機関が連携したヤングケアラー支援拠点の構築、相談支援体制の充実などを訴えた。

伊藤氏らは、ヤングケアラーの現状と課題をキャッチする拠点づくりに努め、「国、県、市町が連携して具体的な対策を実行していきたい」と応じていた。